
静的サイトは、あらかじめ用意したファイルを見に来た人へそのまま返します。動的サイトは、サーバーのプログラムがその場でページを組み立てて返します。組み立てる材料は、多くの場合、データベースに入れた内容です。
サイトを作る側にとってこの違いが関わるのは表示の速さ・安全性と公開後の手間です。公開後に内容を直すときの手間とサーバーで動くソフトの更新を誰が担うかは、静的か動的かとは別に決まります。
記事の中で引いた公式ページの記載は、2026年9月10日に確認しました。
静的サイトと動的サイトは、ページを用意するタイミングが違う
動的サイトでは、データベースから内容を取り出し、ページの型に埋め込む形が多いと説明されています(MDN の解説)。静的なページと動的なページを 1 つのサイトの中で組み合わせることもあります。たとえば会社案内は静的なページにして、会員ページだけ、動的に作る形です。
| 静的サイト | 動的サイト | |
|---|---|---|
| サーバーがすること | 用意されたファイルを返す | プログラムでページを作って返す |
| 向く用途 | 誰に見せても同じページ。会社案内・店の紹介・作品の一覧 | 見る人ごとに変わるページ。会員ページ・カート・注文の履歴 |
| よく見る例 | HTML と CSS のファイルを置いたサイト、静的サイトを作るツールで書き出したサイト | WordPress をレンタルサーバーで動かしたサイト、ネットショップのカート |
名前から受ける印象と違う点を挙げます。
- 静的サイトでも画面は動かせます。スライドや開閉するメニューは、見ている人のブラウザで動く仕組みです
- 静的なページでも新しい情報を見せられます。表示したあとにブラウザが外部のサービスから予約の空き状況などを読み込む形です
- 静的サイトでも内容は更新できます。ファイルを書き換えて置き直せば新しい内容が公開されます
- 動的サイトでも全員に同じページを出すことは多くあります。WordPress で作った会社案内がその例です
静的サイトと動的サイトのメリットとデメリット
| 静的サイト | 動的サイト | |
|---|---|---|
| 表示のたびのサーバーの処理 | ファイルを返すだけで少ない | ページを作るぶん多い。作ったページを保存して返す仕組みで減らせる |
| 更新して守るソフト | 手で書いたなら無い。静的サイトを作るツールや管理画面を使う構成では、その更新が残る | サーバーで動くプログラムの更新を続ける。管理画面があればその更新も |
| 会員だけ・本人だけに見せるページ | ログインと見てよい範囲を確かめる仕組みを別に組み込む | サーバーで確かめる仕組みを作り込むか、その機能を持つサービスやプラグインを使う |
| 問い合わせフォーム | 送信を受け取る仕組みを別に用意する。配信サービスの機能や外部のサービスを使う | 送信を受け取る処理をサーバーで持てる。WordPress ならプラグインで足す |
| 別の場所へ移す | ファイルは移せる。フォームなど配信先の機能は移し直す | プログラム・データ・画像などのファイルをまとめて移す。サービスで作ったサイトは、書き出せる範囲がサービスで違う |
サーバーの処理が少ないぶん、静的サイトは速くしやすい作りです。ただし、表示の速さは画像の重さや読み込むスクリプトの量でも変わるので、静的だから必ず速いとまでは言えません。動的サイトの側も毎回ページを作るとは限らず、WordPress には、作ったページを静的なファイルとして保存しておき、次からそれを返すキャッシュのプラグインがあります(WordPress の高速化の解説)。ただし、カートや会員のページのように見る人ごとに変わるページは、この保存の対象から外します(WooCommerce のキャッシュの設定の説明)。
安全性の点では、インターネットに公開されたサーバーの上で動くソフトが多いほど、見つかった弱点をふさぐ更新が要る場所も増えます。WordPress なら本体・テーマ・プラグインがこれにあたり、キャッシュを使っても管理画面とプログラムはサーバーに残ります。プラグインとテーマは、管理画面から自動更新を有効にできますが、レンタルサーバーやプラグインの側で自動更新を止めている場合もあります。公式の説明は、戻せるようにバックアップを取っておくことも勧めています(WordPress の自動更新の説明)。自動更新を使っても表示や問い合わせが更新のあとに動くかを確かめる役目は、残ります。静的サイトでも組み込んだ外部のサービスのアカウントやバックアップの管理は、残ります。
管理画面で直せるかは、静的か動的かでは決まらない
公開後の手間には、内容をどこで直すかとサーバーで動くソフトの更新を誰が担うかが大きく関わります。どちらも静的か動的かとセットで説明されることが多いのですが、組み合わせは次のように分かれます。
| 作り方の例 | 内容を直す場所 | サーバーで動くソフトの更新 |
|---|---|---|
| WordPress をレンタルサーバーに置く(動的) | 管理画面 | 自分か、保守を頼んだ相手。WordPress 本体・テーマ・プラグイン。サーバーそのものは事業者 |
| サイト作成サービス(STUDIO・Wix など) | 編集画面 | サービス。追加したアプリの更新・設定・契約は自分 |
| HTML を手で書いた静的サイト | HTML と CSS のファイル | 自分のソフトは無い。配信サービスに置けば配信先のサーバーは、その会社が保守する |
| 管理画面付きの静的サイト | 管理画面。直せるのは用意された範囲 | 管理画面の提供会社・生成の仕組みを作った制作会社・自分で分担する。契約で決まる |
サイト作成サービスは、表示の仕組みをサービスが用意するので、静的か動的かを利用者が選ぶ場面は、ほとんどありません。
管理画面付きの静的サイトは、管理画面で内容を書き換えるとその内容から公開用のファイルを作り直す仕組みです。WordPress などを内容の入力に使い、表示用のページは別に作った仕組みで静的なファイルにする構成があります(Astro の WordPress 連携の説明)。表示側を別に作るので、WordPress のテーマや表示のためのプラグインがそのまま使えるとは限りません。保存してから公開されるまでの流れは、作り方によって違います。自動で公開まで進むのか、誰かが作り直しの操作をするのか、失敗したときに誰が気づくのかを確かめてください。管理画面で直せる範囲も作った側がどこまで用意したかで決まります。
手で書いた静的サイトでは、何を変えるかによって手間の差が大きくなります。
| 変えたいもの | WordPress やサイト作成サービス | 手で書いた静的サイト |
|---|---|---|
| 営業時間や料金の文言 | 書き換えて保存し、公開する | ファイルを開いて書き換え、置き直す |
| お知らせ | 新しい記事を書いて公開する | 記事のページを作り、一覧のページも書き換える |
| デザイン | 用意された範囲なら画面で変えられる | 自由に変えられるが、HTML と CSS を書き換える |
どちらでも変えたあとにスマートフォンでの見え方は、確かめる必要があります。構築方法ごとの更新のしやすさと保守の手間は、構築方法の比較に並べています。
制作会社から「静的サイトで作ります」と提案されたら
静的サイトで納品されるなら次の点も確かめておいてください。
- 管理画面が付くか。付くなら納品後に自分へ渡される画面と権限で直したい箇所を直せるかを見せてもらう
- ページの生成に使うプログラムやテンプレート・元のデータと設定・公開の手順を受け取れるか。制作会社の環境が無くても別の人が作り直して公開できるかを聞いておく
- なぜ静的にするのか。何と比べてどう良いのかを具体的に聞くと自分の条件に合う提案かを判断しやすくなります
- 配信先・管理画面・ドメインと問い合わせフォームや予約のサービスを誰の名義で契約するか
更新を頼むときの取り決めと見積もりの見方は、ホームページ制作会社の選び方にまとめています。
HTML を手で書いて作るとき
HTML と CSS を書く知識が要ります。文言を 1 か所直すだけでもファイルを開いて書き換えて置き直し、ページを足すならほかのページからのリンクも書き足します。ブラウザの画面へファイルをドラッグして公開できる配信サービスもあります。独自ドメインの設定や公開前の確認を含めた流れは、ホームページを作る流れにまとめています。
問い合わせフォームは、送られた内容を受け取る仕組みが別に要ります。配信サービスのフォームの機能を使うか、外部のフォームのサービスを組み込みます。Netlify は、フォームの検出を有効にし、自分で作ったフォームの HTML に Netlify 用の指定を書き足して公開すると送信を受け付けると説明しています(Netlify のフォームの説明)。送られた内容は、Netlify の管理画面にたまり、メールで受け取るには通知の設定が別に要ります。予約で空き枠の管理や確定まで要るなら予約と会員限定ページの記事で扱える範囲を比べています。
配信サービスの無料プランには、事業での利用を認めないものや上限を超えるとサイトが止まるものがあります。条件は、静的サイトの配信先の比較に並べました。
自分の場合に当てはめる
- 自分で頻繁に直したい場合。 管理画面や編集画面がある構築方法が向きます。サーバーで動くソフトの更新まで任せたいならサイト作成サービスが候補です。必要な機能がサイト作成サービスに無いときは、WordPress で足すことを考えます
- ほとんど更新せず、ページ数が少なく、HTML を書ける人が身近にいる場合。 手で書いた静的サイトが候補になります。その人が続けて手伝えるか、代わりの人を見つけられるかも確かめてください
- 会員ごとに見せる内容を変える、注文と決済を受ける場合。 本人の確認や注文の処理をどこが担うかで候補が変わります。ネットショップのサービスや決済のサービスに処理を任せれば紹介のページは、静的サイトでも作れます。必要な機能から候補を絞る考え方は、サイトの作り方はどう選ぶ?にあります
更新する人・必要な機能・予算を条件にして絞るなら構築方法の診断で答えると合う順に並びます。順位は、回答だけから決め、紹介料の有無は、影響しません。