
サイトの作り方を比べるときは、費用と使いやすさが中心になりがちです。そこに「あとで別のサービスへ移れるか」を1つ足しておくと、選び直しがきく範囲が変わります。
この記事では、作ったものを持ち出せるかどうかを、各社の公式ページに書かれている内容だけから整理します。記載の取得日は2026年8月6日です。ページの内容は変わるため、契約の前には各社の最新のページをご確認ください。費用については扱わないので、そちらはホームページの費用をご覧ください。
「持ち出せる」は3段階に分かれます
持ち出せるかどうかを1つの言葉でまとめると、確認すべきことが消えます。エラツクでは次の3つに分けて持っています。
| 段階 | 意味 |
|---|---|
| 標準の機能で書き出せる | 追加の契約や作業なしに書き出せると公式ページに書かれている |
| 条件が付く | 書き出せるが、アプリの追加が要る、または書き出せる範囲が一部のデータに限られる |
| 書き出せないと明記されている | 書き出す機能を用意していないと公式ページに書かれている |
この3つに「公式ページに書かれていない」という段階はありません。書かれていないことと、こちらがまだ確認できていないことは意味が違うため、同じ欄に入れないようにしています。
何を持ち出したいのかを先に分けます
「サイトを移す」と一言で言っても、中身は次の6つに分かれます。どれが自分にとって重要かで、確認する場所が変わります。
- 原稿。ページに書いた文章です
- 画像。写真やイラストの元ファイルです
- 商品データ。ネットショップの商品名・価格・在庫などです
- デザイン。レイアウトや配色の作りです
- ドメイン。
example.comのようなサイトのアドレスです - 検索順位。それまでに検索エンジンから受けた評価です
このうちデザインは、どのサービスでも持ち出せないと考えるほうが実態に近いです。書き出す機能がある場合でも、書き出されるのは中身であって見た目の作りではありません。移った先のテーマやテンプレートに合わせて組み直すことになります。
検索順位は、持ち出すというより「URL を変えないこと」の話になります。URL が変わる場合は、古い URL から新しい URL への転送を設定する作業が別に発生します。
公式ページに書かれていること
エラツクが公式ページの記載を確認できた4つの作り方は、次のようになっています。
| 作り方 | 段階 | 書かれている内容 |
|---|---|---|
| WordPress(レンタルサーバー) | 標準の機能で書き出せる | 投稿・固定ページ・コメントなどを1つのファイルにまとめられる |
| BASE | 条件が付く | アプリを追加すると商品情報を CSV で書き出せる |
| STUDIO | 書き出せないと明記 | CMS データやデザインデータの書き出し機能は提供していない |
| Wix | 書き出せないと明記 | サイトは Wix のサーバー上で運用する必要がある |
WordPress は、管理画面のツールからエクスポートすると、投稿・固定ページ・コメント・カスタムフィールド・カテゴリー・タグなどが1つのファイルにまとまります。公式のドキュメントでは「この形式は WordPress eXtended RSS または WXR ファイルと呼ばれ」と説明されています(エクスポート画面)。
BASE では、商品の情報を書き出せますが標準の機能ではありません。「「CSV商品管理 App」をインストールすると、CSVファイルで商品情報を一括登録、更新、ダウンロードできます」と書かれています(CSV商品管理 App)。書き出せるのは商品の情報で、ショップのデザインは対象ではありません。
STUDIO は、ヘルプに「Studioで作成したサイトのCMSデータやデザインデータのエクスポート機能は現在提供しておりません」と書かれています(Studio ヘルプ)。別のサービスへ移るときは、ページを開いて文章と画像を集め直し、移った先で作り直すことになります。
Wix は、サイトを他のサーバーへ移して動かすことはできません。「Wix は SaaS ソリューションであるため、ユーザーのサイトも Wix のサーバー上で運用する必要があります」と書かれています(Wix サイトを外部ホストにエクスポートまたは埋め込む)。
公式の記載を確認できなかったもの
Shopify・ジンドゥー・ペライチについては、2026年8月6日の時点で公式ヘルプの該当ページを確認できなかったため、この記事では扱いません。Shopify とジンドゥーはヘルプの取得がアクセス制限で止まり、ペライチにはこの話題の記事が見つかりませんでした。いずれも「こちらが確認できていない」だけであって、持ち出せないという意味ではありません。この3つを検討している場合は、各社のヘルプで書き出し機能の有無を直接お確かめください。
書き出せても、そのまま動くとは限りません
書き出す機能があることと、移った先でそのまま使えることは別の話です。
WordPress のエクスポートは、別の WordPress サイトへ取り込むための形式です。同じ WordPress どうしなら管理画面から取り込めますが、ノーコードのサービスへ持っていく場合は、その形式を読み込める先があるとは限りません。書き出したファイルがあっても、貼り直す作業が残る可能性があります。
BASE の CSV も同じで、商品名や価格といった項目は移せますが、商品ページの見せ方までは含まれません。
STUDIO から WordPress へ移りたい場合は、STUDIO 側に書き出す機能が無いため、ページを1枚ずつ開いて文章と画像を手作業で集め、WordPress 側で組み直すことになります。ページ数が多いほど、この作業の量が増えます。
つまり、確認する順番は次の3つです。
- 書き出す機能があるか
- 書き出せるのは何か(原稿だけか、画像も含むか、商品データか)
- 移りたい先がその形式を読み込めるか
ドメインは作り方に関係なく自分のものにできます
ここまでで唯一、作り方に縛られないのがドメインです。
Wix のヘルプにも「別のプロバイダでドメインを購入・管理し、そのドメインを Wix サイトに接続することは可能です」と書かれています(Wix サイトを外部ホストにエクスポートまたは埋め込む)。サイトそのものは持ち出せなくても、アドレスは自分の側に残せるということです。
独自ドメインで公開しておくと、別のサービスへ移ったときに URL が変わりません。名刺やチラシに刷った住所も、他のサイトから張られたリンクもそのまま使えます。
一方、サービスが配るアドレス(サービス名を含んだアドレス)で公開している場合、そのアドレスはサービスを離れると使えなくなります。移った時点で全ページの URL が変わるため、案内のやり直しが必要になります。作り方を決める前に独自ドメインで公開できるかを見ておくと、移るときの作業が1つ減ります。ドメインの取り方と年額は独自ドメインの取り方と費用にまとめています。
作る前に確かめておくこと
持ち出しやすさは、作ってから調べても手遅れになりやすい項目です。選ぶ段階で次を見ておくと、あとで判断をやり直せます。
- そのサービスに書き出す機能があるか。公式ヘルプで「エクスポート」を検索する
- 書き出せるのが原稿だけか、画像や商品データも含むか
- 独自ドメインで公開できるか。できるプランはどれか
- 移るとしたらどこへ移りそうか。その移り先が読める形式か
書き出す機能が無いサービスを選んではいけない、という話ではありません。デザインの作りやすさや運用の手軽さを優先して選ぶ理由は十分にありますし、その場合でも独自ドメインで公開しておけば、移るときに失うものを減らせます。決めるときは、持ち出しやすさを他の条件と並べて重み付けしてください。
判断の条件そのものを整理したい場合はサイトの作り方はどう選ぶ?判断を分ける5つの条件を、作り方ごとの違いを横に並べて見たい場合は作り方の比較をご覧ください。条件がまだ固まっていないときは無料の診断で候補を絞れます。