
サービスの案内に「予約機能に対応」「会員機能あり」と書かれていてもそこでできることは同じではありません。予約は、空いている時間帯を見せて相手に選ばせるものもあれば、希望を受け取るところまでのものもあります。会員は、パスワードを配るものと一人ずつ登録させるものに分かれます。
たとえばペライチの料金ページには、プランごとの比較表に「予約機能」「パスワード保護」という行があります。そこで何ができるかまでは書かれていないので、契約する前には気づきにくいところです。
この記事では、エラツクが比べている構築方法のうち 7 つのサービスについて、予約と会員限定のページに関する公式ヘルプの記載を並べます。
※機能の記載は、2026-09-05 に各社の公式ヘルプで確かめたものです。機能は追加や変更があるため、契約の前に最新のページをご確認ください。
最初に結論
やりたいことごとに、公式ヘルプに手段が書かれている構築方法を並べます。「拡張の仕組みで足す」は、そのサービスの公式が案内しているプラグイン・アプリ・外部サービスの埋め込みを指します。 入れるものを自分で選び、そのあとの更新も自分で追いかけることになります。
| やりたいこと | 手段がある構築方法 |
|---|---|
| 予約の希望を受けて、空いているかはこちらで確かめて返事する | サイト側に予約の機能は要りません |
| 外部の予約サービスで受けて、サイトからはリンクする | 同じく、サイト側には要りません |
| サイトの上で空いている時間帯を見せて、相手に選んでもらう | Wix・ペライチ |
| 同じことを拡張の仕組みで足す | WordPress はプラグイン、Shopify はアプリ、STUDIO とジンドゥーは外部サービスのコードを貼ります |
会員について。
| やりたいこと | 手段がある構築方法 |
|---|---|
| 決まった相手にだけ見せる。相手は区別しなくてよい | 7 つすべて。合言葉を配る形です |
| 公開するページと会員向けのページを 1 つのサイトに置く | WordPress・Wix・ペライチ・ジンドゥー |
| 会員だけが見られるページを作る | Wix。WordPress はプラグイン、Shopify はアプリで足します |
| やめた人だけ見られないようにする | 一人ずつ登録させる形が要ります。Shopify は公式が「個々のアカウントを無効にすることはできません」と書いています |
| 会費を取る | Wix・BASE。WordPress はプラグインで足します |
| 会員だけに売る商品を持つ | Wix・BASE |
表に無いものを「できない」とは書いていません。 エラツクが各社の公式ヘルプを読んだ範囲で、手段が書かれていたものだけを並べています。
予約と会員は、どこで分かれるか
予約と会員は、別々の条件です。両方が要る人もいれば、片方だけの人もいます。
予約は、どこまでをサイトに任せるかで分かれます。
- 予約の希望を受け取る。空いているかはこちらで確かめて、返事をする
- 空いている時間帯を見せて、相手に選んでもらう。受けたあとに承認する形もあれば、その場で確定する形もある
会員は、相手を一人ずつ見分ける必要があるかで分かれます。
- 合言葉を 1 つ決めて、見せたい相手に配る。知っている人は誰でも見られるので、特定の人だけ見られなくすることはできません
- 一人ずつ登録させて、それぞれにログインしてもらう。相手によって見せるものを変えられます
合言葉を配る形は、全員に同じものを見せる場合に足ります。特定の人だけ見られなくしたいなら、合言葉を変えて残りの人に配り直すことになります。 新しく入る人には今の合言葉を伝えれば済むので、手間がかかるのは出ていく人がいるときです。
一人ずつ登録させれば必ず止められるわけでもありません。 Shopify の公式ヘルプには「お客様アカウントでは、個々のアカウントを無効にすることはできません。お客様プロフィールを削除することはできますが、そのお客様が同じメールアドレスで再度ログインすると、お客様プロフィールが再度作成されます」と書かれています(お客様アカウントを管理する)。止める必要があるなら、その仕組みがあるかを個別に確かめてください。
サイトの外で受けるならサイト側に機能は要らない
予約を外部の予約サービスで受けていて、そこを変えるつもりがないならサイトに予約の仕組みは要りません。予約ページへのリンクを置くだけで済みます。会員向けの連絡を LINE 公式アカウントや会員向けのメールで送っているなら同じことが言えます。
この場合、構築方法を選ぶときに予約と会員の機能を条件から外せます。外せば、費用やデザインの自由度で選べる範囲が広がります。
外で受ける場合でも、予約そのものはその予約サービスに集まります。手作業が残るのは電話や店頭で受けた予約と突き合わせるところです。予約サービスの側に電話の予約を自分で入れておかないと同じ時間帯に二重で受けてしまいます。
予約を受ける機能は、構築方法によって手段が変わる
ジンドゥーには 2 つの製品があり、ここでは「クリエイター」のヘルプを見ています。表の「記載を見つけられませんでした」は、エラツクが公式のヘルプを読んだ範囲では書かれていなかった、という意味です。
| 構築方法 | 予約を受ける手段 | 時間帯と定員を扱えるか |
|---|---|---|
| WordPress | プラグインを入れる | 扱えます。入れるものは自分で選びます |
| STUDIO | 外部サービスのコードを貼る | 標準の機能にはありません |
| Wix | Wix ブッキング | 扱えます。予約を受けるには有料のプランが要ります |
| ペライチ | 予約機能 | 扱えます。ビジネスプランかプロフェッショナルプランが要ります |
| ジンドゥー(クリエイター) | 外部サービスのコードを貼る | 標準の機能にはありません |
| Shopify | アプリを入れる | 標準の機能としての記載は見つけられませんでした |
| BASE | 記載を見つけられませんでした | 名前の似た App がありますが、日時の予約ではありません |
Wix ブッキングは、枠の管理・スケジュールの変更・リマインダーの送信まで扱えます。公式ヘルプに「Wix ブッキングは無料でサイトに追加できますが、予約を受け付けるにはサイトをアップグレードする必要があります」と書かれています(Wix ブッキングについて)。
ペライチは予約枠ごとに、予約できる時間帯と定員を決められます(予約枠とは)。受けた予約は、あとから確認・承認・キャンセルができます。ただし予約のページが別に作られて、そこへリンクする形になります。公式の手順は「作成した予約ページをペライチのページにリンク設定する」です(予約機能利用の流れ)。
WordPress はプラグインで扱います。Booking Package の場合、無料の版で予約枠を作って受け付けられます。有料版の機能として挙げられているのは訪問者に自分で予約を変えさせたり取り消させたりすること、それに予約枠ごとの残りの定員を出すことです(Booking Package)。
STUDIO とジンドゥーは、外部の予約サービスが発行したコードを貼る形になります。ジンドゥーの公式ヘルプは「The booking tool needs be available to you in the form of a HTML code」と書いています。予約のツールを HTML のコードの形で受け取っておく必要がある、という意味です(How do I add a booking tool?)。STUDIO も「現在、Studioで提供するフォームでは日付を入力するための機能はご提供していません」と明記しています(日付入力欄にカレンダーを追加する)。Shopify も標準の記載は見つけられず、公式のアプリストアに予約のアプリを集めたカテゴリがあります。
コードを貼る形やアプリで足す形では、貼ったあとの見た目がサイトと揃うか、狭い画面で崩れないかが足す先のサービスによって変わります。試せるなら契約の前に確かめてください。
BASE の「予約販売」App は、日時の予約ではありません。「入荷前の商品を先行で販売し、予約注文を受けることができます」という説明で、受注生産や入荷前の商品を先に売るためのものです(予約販売)。来店や施術の予約には使えません。
会員だけに見せる方法は、大きく 2 つに分かれる
| 構築方法 | 合言葉を配って見せる | 一人ずつ登録させて見せる |
|---|---|---|
| WordPress | 投稿や固定ページごと | 本体の設定で登録を受け付けられます |
| STUDIO | サイト全体に 1 つ。Personal プラン以上 | 記載を見つけられませんでした |
| Wix | ページごと | 会員エリアがあります |
| ペライチ | ページごと。ビジネスプラン以上 | 記載を見つけられませんでした |
| ジンドゥー(クリエイター) | ページごと | 対応していないと明記されています |
| Shopify | ストア全体に 1 つ | 扱えるのは注文とプロフィールの管理です |
| BASE | 「シークレット EC」App | 「コミュニティ」App |
合言葉を配る方法は、かかる範囲が 2 通りある
サイトやショップの全体にかかるのが STUDIO・Shopify・BASE、ページごとにかけられるのが WordPress・Wix・ペライチ・ジンドゥーです。BASE の「シークレット EC」App には例外があり、公式ヘルプに「CONTACTページやプライバシーポリシーに、パスワードをかけることはできません」と書かれています(シークレット EC App)。
全体にかかる形では、公開するページと会員向けのページを分けられません。Shopify の場合、設定すると「オンラインストアのすべてのページが訪問者や検索エンジンから非表示になり」ます(オンラインストアへのアクセス制限)。STUDIO も同じくサイト全体が対象で、Personal プラン以上で使えます(サイト全体をパスワードで保護する)。
ページごとにかけられる形なら、公開するページと会員向けのページを 1 つのサイトに置けます。Wix はページの設定で「パスワードを持っているユーザーやサイト会員として承認されたユーザー」のどちらに見せるかを選べます(ページにアクセス制限を適用する)。ペライチは合言葉を配る形だけで、ビジネスプランかプロフェッショナルプランの契約が要ります(パスワード保護機能とは)。WordPress は本体の機能で、投稿や固定ページごとに設定します(公開状態)。
一人ずつ登録させる方法は、扱える範囲がさらに分かれる
Wix の会員エリアは、公式ヘルプに「サイト会員がアクセスできるコンテンツのみを含む限定ページを作成することができます」と書かれています。その限定ページを「すべてのサイト会員が利用できるようにすることも、一部の会員に限定する(特定のサイト会員の役割や有料会員)こともできます」ともあり、会費を取る形も含まれます(会員エリアについて)。会員だけに売る商品を持つこともできます。公式ヘルプに「サイト会員限定の特別なオファーを提供して特典を与えます。すべてのサイト会員、またはページのパスワードを持つ会員のみにアクセスを許可することができます」と書かれています(サイト会員専用のストアページを作成する)。
WordPress は本体の設定に「誰でもユーザー登録ができるようにする」という項目があり、訪問者が自分で登録できます(一般設定)。登録した人によって見せるものを変えることと会費を取ることは、どちらもプラグインで足します。公式のプラグインディレクトリにある Paid Member Subscriptions は、定期的な支払いの受け取りと会員向けのコンテンツの制限を挙げています(Paid Member Subscriptions)。
Shopify のお客様アカウントは、ログインの仕組みとしては備わっています。公式ヘルプが挙げているのは「注文の表示や管理、プロフィール情報の編集、セルフサービス返品や再注文」で、買った人が自分の注文を扱うためのものです(お客様アカウント)。会員だけに見せるページや商品は、公式のアプリストアのアカウントとログインのカテゴリにあるアプリで足すことになります。ジンドゥーのクリエイターは「A members area, which allows visitors to create their own account on your website with username and password, isn't supported by Jimdo.」と書いています。訪問者が自分のアカウントを作れる会員エリアには対応していない、という意味です(How do I create members areas?)。
BASE の「コミュニティ」App は、会員限定の商品を作れます。対象は「通常商品とデジタルコンテンツ商品のみ」で、定期便などは含まれません。有料のコミュニティも作れて、その場合は集めた会費に「『コミュニティ App』サービス利用料として、5%」がかかります(有料コミュニティの手数料)。同じ App の「会員限定ページ」は、名前から想像するものと中身が違います。公式の説明は「『BASE』が新しくURLを発行するのではなく、すでにショップオーナー様がお持ちのページのURLを設定できる機能です」で、既に持っているページの URL を会員に教える仕組みです(コミュニティ会員限定のコンテンツ)。そのページを会員以外から守るのは置いた先の側の設定になります。
予約と会員をつなげたいときは、別の条件になる
予約と会員のどちらも要る場合、両方が使えるかどうかだけでは決まりません。つなげ方によって、確かめることが変わります。
| やりたいこと | 確かめること |
|---|---|
| 予約のページと会員向けのページを同じサイトに別々に置く | それぞれが使えるかどうかで足ります |
| 会員だけが予約できるようにする | 予約の画面が、見に来た人がログインしているかどうかを見分けられるか |
| 会員によって予約の条件を変える(受けられる回数・料金・受け付けを始める時期) | 予約の画面が、その人の会員の種類を見分けられるか |
| 予約の履歴を会員のページから見られるようにする | 予約の記録と会員の記録が、同じサービスの中で結び付いているか |
一番上の行は、2 つが別々に動いていれば足ります。下の 3 つは、予約の側が会員の情報を見られる必要があります。 別々のサービスを組み合わせる形だとそこを自分でつなぐことになります。設定だけで済むこともあれば、作る作業が要ることも、そもそもできないこともあります。
つなげる話が公式ヘルプに書かれているのはこの 7 つのうち Wix と WordPress です。Wix は会員制プランとチケット制プランを買った人が予約に使える形で、「これらのプランは、プライベート予約とクラスで利用することができます」と書かれています(Wix ブッキングについて)。WordPress の Booking Package は、登録した人が予約のときに個人情報の入力を省略できると案内しています。
それ以外の組み合わせは、公式ヘルプに記載を見つけられませんでした。下の 3 つに当たるなら、契約の前に問い合わせてください。
無料で作れることとその機能を使えることは別
無料のプランでサイトを作って試せても予約や会員の機能まで無料で使えるとは限りません。Wix の予約、ペライチの予約とパスワード保護、STUDIO のパスワード保護には、対象のプランが決まっています。
無料で試した感触だけで決めると公開の直前になって契約が要ると分かることがあります。必要な機能が決まっているなら、その機能が含まれるプランで金額を見てください。 プランごとの金額と上限はノーコードツールの比較に並べています。ペライチのプランごとの違いはペライチの料金プランと向いているサイトにまとめています。こちらはサービス紹介の記事で、リンクから紹介料が発生する場合があります。
入れたあとに残る作業
予約と会員は、置いたら終わりになる機能ではありません。公開したあとに次の作業が続きます。
予約では、枠を出すこと、来なかった人への対応、電話や店頭で受けた予約と重ならないようにすることが残ります。定員で自動的に受け付けを止める設定があるサービスもありますが、その条件を決めるのはこちらです。
会員では、パスワードを配る方法なら伝える手段と変えたときに伝え直す手間が残ります。一人ずつ登録させる方法なら登録の内容を確かめること、退会の受け付け、登録した人の情報をどこまで持つかを決めることが残ります。会員の情報は個人情報にあたるので、誰が見られる状態にするかを先に決めてください。
更新の作業をどう続けるかは、サイトの更新が続かない理由で扱っています。
依頼する場合に決めること
制作会社に頼む場合も予約と会員の要件はこちらが決めることになります。「予約を受けたい」だけでは、上に挙げた分かれ目のどこに当たるかが決まらないためです。
依頼する前に決めておくと話が早いのは次の 3 つです。
- 予約は希望を受け取るところまでか、その場で確定するところまでか
- 会員は相手によって見せるものを変える必要があるか
- 予約と会員をつなげる必要があるか
技術的にどう作るかまでは、決めなくて構いません。先に決めるのは業務としてどうしたいかで、実現の方法は相談する相手と一緒に詰めます。 費用や実現のしやすさを聞いてから、やりたいことのほうを調整する場面もあります。 見積もりの見方と依頼する前に決めておくことは制作会社の選び方に書いています。
機能のほかに決めることが残る
予約と会員で候補が絞れてもそれだけで構築方法は決まりません。残っているのは費用・更新の体制・デザインの自由度・あとから別のサービスへ移せるかです。同じ機能を持つサービスの中でも、これらは分かれます。
- 候補が 2 つか 3 つに絞れた場合。 構築方法の比較で、費用と更新のしやすさを同じ基準で並べています
- 商品も売る場合。 手数料の形が月商によって逆転するので、BASE と Shopify の手数料の比較で境目を見てください
- 業種から必要な機能を見当づけたい場合。 業種によってサイトに何が必要かが逆の向きから同じ話を扱っています
- 機能のほかに何を決めるかが見えていない場合。 サイトの作り方はどう選ぶ?で 5 つの条件に分けています