
WordPress と STUDIO のどちらにするかは、機能の多さでは決まりません。更新を誰が続けるか、あとから何を足すか、途中で別のサービスへ移る可能性があるかで向き不向きが入れ替わります。
会社や店舗の紹介と問い合わせの受付に使うサイトなら、WordPress と STUDIO の差がいちばん出るのは公開したあとの作業です。費用の節に、会社紹介のサイトを例にして、契約するプランと自分に残る作業を並べています。9種類の構築方法をまたいだ判断軸は、サイトの作り方はどう選ぶ?にあります。全体の軸を先に読んでからこの記事で WordPress と STUDIO に当てはめると迷いにくくなります。
※金額は、各社の公式の料金ページから取得したものです。STUDIO とさくらのレンタルサーバは2026年9月28日、エックスサーバーは2026年10月5日に取得した表記を使っています。料金は、改定されるため、契約の前に各社の最新のページをご確認ください。
違いは「何を自分で持つか」
2つは同じ「サイトを作る手段」ですが、契約の相手も動かす場所も自分に残る作業も違います。
| 比べる点 | WordPress | STUDIO |
|---|---|---|
| 動かす場所 | 自分で借りたレンタルサーバー | STUDIO のサービス上 |
| 契約する相手 | サーバー事業者。複数の会社から選べます | STUDIO の1社 |
| 費用のかかり方 | サーバー代と独自ドメイン代 | プラン料金 |
| 自分に残る作業 | サイトの中身の更新に加えて、本体・テーマ・プラグインの更新とサーバーの設定 | サイトの中身の更新。ソフトウェアの更新は STUDIO 側が行います |
| 機能の足し方 | プラグインで後から足します | 標準機能の範囲と API 連携 |
| 公開できるページ数 | 上限はありません | プランごとに上限があります |
WordPress は、動かす場所を自分で選ぶ代わりに、動かし続ける責任も自分に来ます。STUDIO は、動かす場所を持たない代わりに、できることの範囲が契約したプランで決まります。この非対称が以下のすべての違いの元になっています。
5つの軸で比べる
エラツクは、費用以外の違いを5つの軸で5段階に評価しています。この点数は、各社が公表した数字ではなく、公開情報をもとにしたエラツクの判断です。段階の定義は、構築方法の比較に出しています。
| 軸 | WordPress | STUDIO |
|---|---|---|
| 公開後の更新のしやすさ | 4 | 5 |
| デザインの自由度 | 4 | 5 |
| 機能の拡張・外部連携 | 5 | 3 |
| 保守の手間の少なさ | 2 | 5 |
| ネット販売への対応 | 3 | 1 |
点数だけでは判断できないため、その評価になった理由を並べます。
- 公開後の更新のしやすさ。WordPress は、管理画面から記事とページを追加できますが、テーマやプラグインの更新作業が利用者側に残ります。STUDIO は、画面を見たまま編集でき、CMS で記事を追加でき、公開は、ボタン操作で終わります
- デザインの自由度。WordPress は、テーマを選ぶか、HTML・CSS・PHP を編集して作り込めます。既製テーマのままだと他のサイトと似た見た目になります。STUDIO は、ボックスと余白を直接操作してレイアウトを組め、Figma からの取り込みにも対応しています
- 機能の拡張・外部連携。WordPress は、プラグインで問い合わせ・予約・会員・多言語などを後から足せます。STUDIO は、フォーム・CMS・SEO 設定が標準で使える一方、API 連携の数に上限があります
- 保守の手間の少なさ。WordPress は、本体・テーマ・プラグインの更新とサーバー側の設定が利用者の責任範囲に入ります。STUDIO は、サーバーとソフトウェアの更新を STUDIO 側が行うため、更新作業が残りません
- ネット販売への対応。WordPress は、プラグインで販売機能を追加できますが、決済・在庫・配送の設定は、自分で組む必要があります。STUDIO の料金ページには販売・決済のプラン項目がありません
差が最も大きいのは保守の手間で、2と5になっています。エラツクの定義では2は、「本体・拡張・サーバーの更新が、すべて自分の責任になります」、5は、「サーバーもソフトウェアも事業者が更新します」です。ここは好みではなく、更新を続ける人がいるかどうかで決まります。
費用は金額より「形」が違う
月額だけを並べると近い数字になりますが、何に払っているかが違います。
WordPress そのものの利用料は、なく、払うのはサーバー代と独自ドメイン代です。同じ WordPress でもサーバー事業者を選べるため、金額は、選んだ会社と契約期間で変わります。
- さくらのレンタルサーバ スタンダードは、36か月一括18,000円で月額換算500円(税込)です。毎月払いにすると660円(税込)になります(料金プラン)
- エックスサーバー スタンダードは、36か月契約で月額693円(税込)です。2026年11月4日17:00までのキャンペーン価格で、キャンペーン前の表示は990円です(料金プラン)
長い契約ほど月額が下がる代わりに、期間分を先に払い、途中でやめにくくなります。サーバー7社の月額と契約条件は、WordPress を動かすサーバーの比較にまとめています。
STUDIO は、月額に置き場所も更新作業も含まれる代わりに、プランごとに公開できるページ数が決まります。年払いと月払いで月額が変わる点にも注意が必要です。
- Mini は、年払いで月590円、月払いなら1,290円です。公開できるページ数は、2ページと「404」ページです(料金プラン)
- Personal は、年払いで月1,190円、月払いなら1,720円です。公開できるページ数は、150ページです(料金プラン)
いずれも税の扱いが料金ページに書かれていないため、エラツクでは税込・税別のどちらとも断定していません。月0円の Free プランもありますが、独自ドメイン接続は、Mini の追加機能として記載されており、Free の欄にはありません(料金プラン)。
2ページで収まるなら STUDIO の月額は、サーバー代と近い水準になり、ページが増えると Personal 以上へ動きます。WordPress は、ページ数が増えても月額が変わらない代わりに、更新作業の時間が費用の外にかかります。3年で見た総額は、利用年数や独自ドメインの種類でも変わるので、料金シミュレーションで自分の条件を入れて確かめてください。
会社紹介のサイトで並べると
会社概要・サービス・実績・採用・お問い合わせのページがあり、問い合わせフォームで連絡を受け、社内の1人が月に1回ほど文章を直すサイトなら、WordPress と STUDIO は次のように並びます。
| 比べる点 | WordPress | STUDIO |
|---|---|---|
| 契約するもの | レンタルサーバーと独自ドメイン | Personal と独自ドメイン。Mini は2ページと「404」ページまでなので、このサイトは載りません |
| 支払いの形 | 上の2社のスタンダードは、どちらも36か月分を先に払う契約です | 年払いか月払いです。年払いは、申し込んだ日から1年単位で自動更新されます |
| 独自ドメイン | エックスサーバーのスタンダードは、12か月以上の新規契約で1つ無料になります | 別の会社で取得して接続します |
| 公開までに自分でやること | WordPress のインストール、テーマ選び、フォームのプラグインの設定、通知先の設定と送信の確認 | テンプレートの編集、独自ドメインの接続、フォームの通知先の設定と送信の確認 |
| 公開後に自分に残る作業 | 本体・テーマ・プラグインの更新と更新したあとの表示の確認 | ソフトウェアの更新は STUDIO 側が行います |
| どちらでも残る作業 | 原稿と写真の用意、スマートフォンでの表示の確認、問い合わせへの返信、独自ドメインの更新 | 原稿と写真の用意、スマートフォンでの表示の確認、問い合わせへの返信、独自ドメインの更新 |
契約から公開までは、どちらも設定と確認の手順が並び、作業の量は近くなります。分かれるのは「公開後に自分に残る作業」の行で、WordPress は本体・テーマ・プラグインの更新が利用者に残り、STUDIO はその更新を事業者が持ちます。表の最後に並べた原稿の用意から独自ドメインの更新までは、どちらでも自分に残ります。負担の違いがこの1行に集まるので、社内にソフトウェアの更新を見る人がいないなら STUDIO の Personal のほうが続けやすくなります。反対に、採用や実績のページを何年も増やし続けるか、予約や会員の機能をあとから足す見込みがあるなら、プラグインで足せる WordPress が向きます。
問い合わせを受けるサイトでは、フォームの上限も見ておく必要があります。STUDIO の Personal でダッシュボードから閲覧できる回答は1,000件までで、上限を超えた回答はダッシュボードでも通知メールでも確認できなくなります(料金プラン)。エックスサーバーのドメイン特典の条件は料金のページにあります。
独自ドメインを含めた3年間の支払額は、料金シミュレーションで利用年数を選ぶと出ます。STUDIO と同じノーコードの Wix やペライチまで候補に入れるなら、ノーコードツールの比較が公開できるページ数で並べています。
STUDIO のプラン全体と制限は、STUDIO の料金プランと向いているサイトにまとめています。こちらは、サービス紹介の記事で、リンクから紹介料が発生する場合があります。ページにも広告表記が出ます。STUDIO 以外のノーコードも見るなら中立の比較は、ノーコードツールの比較にあります。
機能の足し方が違う
エラツクは、機能をどう実現できるかを4段階で整理しています。「あとから足せる」と「最初からある」を同じ扱いにしないためです。
| 機能 | WordPress | STUDIO |
|---|---|---|
| ブログ・お知らせ | 標準機能 | 標準機能 |
| 問い合わせフォーム | 追加で利用可能 | 標準機能 |
| 予約受付 | 追加で利用可能 | 作り込みが必要 |
| 商品の販売・決済 | 追加で利用可能 | 作り込みが必要 |
| 会員機能 | 追加で利用可能 | 作り込みが必要 |
| 多言語対応 | 追加で利用可能 | 作り込みが必要 |
読み方は、3つあります。
- 問い合わせフォームは、STUDIO が標準機能で、WordPress は、プラグインを入れて設定します。すぐ使い始めたいなら STUDIO のほうが手数が少なくなります
- 予約・会員・多言語は、WordPress ならプラグインで足せますが、STUDIO では作り込みが必要になります。外部のサービスを埋め込むなどの手段を自分で用意することになります
- 商品の販売・決済は、STUDIO に標準のカートと決済がありません。公式ヘルプは、コードの埋め込みで外部のネットショップの購入ボタンを置く方法を案内しています(公式ヘルプ)。売ることが主目的なら、決済まで標準で持つサービスと比べることになります
外部システムとの連携が要る場合は、STUDIO では API 連携の付くプランを見ることになります。Business は、年払いで月3,980円、月払いなら5,460円で、API 連携は、1件です(料金プラン)。連携先が複数あるならこの上限が先に効いてくる可能性があります。
持ち出せるかが正反対
契約する前に知っておきたい違いがもう1つあります。作ったものを他へ移せるかどうかが2つで逆になっています。
WordPress は、管理画面のツールからエクスポートすると投稿・固定ページ・コメント・カスタムフィールド・カテゴリー・タグなどが1つのファイルにまとまります。公式のサポート文書では、この形式を「WordPress eXtended RSS または WXR ファイル」と呼んでいます(エクスポート画面)。このファイルを別の WordPress サイトへ取り込めば、記事とページの中身は移せます。テーマ・プラグイン・サイトの設定はこのファイルの対象外なので、移った先で入れ直し、表示とフォームを確かめ直します。
STUDIO は、公式ヘルプに「Studioで作成したサイトのCMSデータやデザインデータのエクスポート機能は現在提供しておりません」と書かれています(公式ヘルプ)。同じヘルプは、ページ情報やデザインも書き出せないとしています。別のサービスへ移るときは、ページを作り直すことになります。
これは、「STUDIO が不利」という、話ではなく、判断の時点が違うという話です。STUDIO を選ぶなら移る可能性を織り込んだうえで選ぶことになります。逆に、数年後の体制がまだ決まっていない場合は、持ち出せるほうが、決定を先送りできます。
持ち出しやすさは、この2つ以外の構築方法でも分かれます。何を持ち出したいのか、書き出せても移った先で使えるのかまで含めた整理は、ホームページを他のサービスへ移せるかにあります。
条件ごとの向き不向き
ここまでの違いを決め手になりやすい条件から並べ直します。どれも1つで決まるものではなく、複数が重なったときに片方へ寄ります。
- 更新する人が Web の専門家ではなく、保守を任せたい場合は、STUDIO が向きます。WordPress は、本体・テーマ・プラグインの更新が止まると脆弱性が残ったままになります
- 商品を売りたい場合、STUDIO は、候補から外れます。ただし WordPress も決済・在庫・配送を自分で組むことになるため、販売が主目的ならネットショップ専業のサービスも含めて比較ページで見てください
- 予約・会員・多言語のどれかが必要で、外部サービスの埋め込みで済ませたくない場合は、WordPress のほうが手段が用意されています
- ページ数が数ページで、見た目を作り込みたい場合は、STUDIO が向きます。ボックスと余白を直接動かせるため、テンプレートに流し込む形にはなりません
- 記事や実績を長く増やし続ける予定ならページ数の上限がない WordPress のほうが、後から詰まりにくくなります。STUDIO でも Personal の150ページで足りるなら問題にはなりません
- 数年後に別のサービスへ移るかもしれない場合は、持ち出せる WordPress のほうが選び直しやすくなります
費用については、どちらが安いと言い切れません。ページ数・契約期間・独自ドメインの扱いで金額が入れ替わるためです。自分の条件で並べるなら料金シミュレーションを使ってください。
確かめたことと確かめていないこと
金額・ページ数・フォームの回答数の上限は、各社の公式の料金ページを取得した本文と照らし合わせています。書き出せる範囲は、WordPress のサポート文書と STUDIO の公式ヘルプで確かめました。
公開されている情報では確かめられず、契約の前に自分で見ておきたいことも残ります。
- STUDIO の金額が税込か税別か。料金ページに書かれていません
- WordPress の本体・テーマ・プラグインの更新に、毎月どれだけ時間がかかるか。入れるプラグインの数とサーバーの設定で変わります
- WordPress で予約や会員の機能を足すときの費用。無料のプラグインと有料のプラグインがあり、選ぶもので変わります
決めきれないとき
2つに絞りきれていない場合、そもそも他の構築方法のほうが条件に合っている可能性があります。エラツクは、9種類を同じ評価軸で並べており、構築方法の比較で費用と向き不向きを横に見られます。Wix との比較は、Wix と STUDIO の違いにあります。
条件のほうが固まっていない場合は、無料の診断が9つの質問から候補を採点します。順位は、回答と各社の公開情報だけから決めており、紹介料の有無は、影響しません。満たせない条件があるときは、その理由も表示します。